あたしはゆっくりとケイタに近付く。


もしかしたら、夢でも見ているのかもしれない。

そんな思いがあたしの中にあって。


目の前にいるケイタは幻なんだと、そう思う自分がいた。


あたしは、ケイタの目の前で足を止めた。


その時、

ケイタがあたしの体を引き寄せた。


「アユ……会いたかった」


あたしの顔の横に、ケイタの顔があって。

あたしの背中には、ケイタの腕が回されてる。


今、抱きしめられてるんだ。