「………ケイタ」


あたしが小さな声で呼ぶと、ケイタの視線がこっちを向いた。


ケイタの顔が、驚きの表情に変わる。


そして、呟いた。


「………アユ」


その瞬間、

こらえていたものが、一気に溢れ出した。


あたしは床に崩れた。


大好きなケイタが、目の前にいる。

大好きな声で、あたしの名前を呟く。


ケイタの記憶にいられたことが、嬉しくてたまらなかった。


「ケイタ……ケイタ………ケイタぁ…」


あたしはひたすら、ケイタの名前を呼んだ。