ICUが見えてきた。

あたしの足取りは、次第にゆっくりになっていく。


ケイタに会える…

“幽霊”じゃない、

本当のケイタに会えるんだ。


中に入り、ベッドへと近付いた。

そこには、母親と会話を交わす、ケイタの姿があった。


あんなにたくさん繋がれていた管も、今は点滴一本になっていた。


目の奥がじわじわと熱くなった。

涙が溢れそうになっているのが分かる。


それを必死にこらえてケイタに近付いた。