突然現れた王子



ケイタの笑顔が、あたしの心に響く。


別れなのに。

もう会えないのに。


ケイタを更に好きになる自分がいる。


好きでたまらない。

離れたくなんかない。


けれど運命というものは、変えることはできなくて。

ケイタの体はもう、胸のあたりまで透けてしまっていた。


「アユ……もう時間がない」

「やだ……ケイタぁ………」

「俺の話、聞いて?」


訴えかけるような、ケイタの声。

あたしはケイタを見た。