「記憶のない赤の他人の俺を、家族として接してくれたじゃん?
来たのがアユんちで本当に良かったなって思ってさ」
優しく微笑みながら、ケイタは言った。
「なんか、急に言いたくなったんだ。
別に気にしなくていいから」
そう言うと、ケイタはまたテレビに目を向けた。
けれど、あたしはこの言葉に、
不安を隠しきれなかった。
ケイタは気にすんなって言ったけれど、何か意味がある気がしてたまらなかった。
何か深い意味があるんじゃないかと。
あたしの予想は、もろくも当たってしまった。
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