「ちょちょちょっ、お母さん!
あたしには聞かないの!?」


何も問わない母親をあたしは引き止めた。

母親は少し顔を歪ませて言った。


「聞かなくても分かるわよ。あんたどうせコロッケでしょ」

「そうだけどぉ~…」

「じゃあいいじゃない、聞かなくて」

「寂しいじゃん~。聞いてほしいよ~」


あたしが拗ねたように言うと、
母親は一つため息をついた。


「今日はケイタくんのために作るんだから。別にあんたの好物なんていいのよ」

「何それー!
ケイタもコロッケ好きかもしれないじゃん!」