突然現れた王子



その時。


「うああああ~‥‥」

「きゃー!!!」


突然現れたお化け。

やけにリアルな特殊メイクに、あたしの恐怖はMAXで。


ケイタにしがみついて思い切り叫んだ。


「もう、嫌ぁ~………」


恐怖で涙が流れる。

怖い、怖いよ。


こんなとこ、早く出たい。


「アユ? 泣いてんの?」


震えるあたしを見て、ケイタは心配そうに言った。


「もうやだよ……ケイタのばかぁ………」


ひたすら泣くあたしの頭を、
ケイタは優しく撫でた。