突然現れた王子



あたしの抵抗虚しく、お化け屋敷に着いた。


「2名様ですかー?」


そう尋ねるスタッフに向かってあたしは


「1名様ですー!!」


なんて言った。


「お化け屋敷一人で入って何が楽しいんだよ。
ほら行くぞ」

「やだー!!
ケイタの鬼っ!!」

「だから、何とでも言えって」


そうやって、あたしは無理やりお化け屋敷の中に入らされた。


真っ暗な室内。

いつ何が出てきてもおかしくない。


あたしはケイタの服の袖を、必死に掴んでいた。