突然現れた王子



「ケイタ、怖いの大丈夫なの?」

「うん。大丈夫だって言ってる」

「…誰が?」

「俺が」


意味の分からない答えを言うケイタに、
あたしは呆れた視線を向けた。

ケイタはにぃーっと、歯を見せて笑ってる。


その時、

ジェットコースターがゆっくりと動き出した。


「お、動いた」


ケイタは楽しそうに声を出した。

あたしもこれからくる恐怖に、胸がワクワクした。


段々と登って、もうすぐ落ちようとするところ。

この瞬間があたしは大好き。