突然現れた王子



でもあたしは、電車から見える景色が大好きで。

ずっと眺めてた。


だからどこか懐かしく思ったんだ。


「アユは遊園地大好きだったのに、なかなか連れてきてやれなかったって、おばさん言ってた」


確かに、遊園地に来たのはあの日一回きりだった。


あたしは何度も遊園地行きたいって駄々こねたけど、
結局連れてってもらえなくて。


いつの間にか、そんなことも忘れてたな。


「だからさ、俺が連れてきてやりたかったんだ。
アユの生まれた大事な日に」