突然現れた王子



「だーいじょうぶっ!
ちゃんとおばさんに行き方、教えてもらったから」

「あ、そう」


ということは、お母さんの知ってる場所?

…一体どこに連れてかれるんだろ。


あたしは不安になりながらも、気にしないことに決めた。

外の景色をじっと眺めた。


初めて見る景色なはずなのに、どこか懐かしささえ感じた。

来たことあるような、そんな感じ。


電車に乗って1時間。

一時は、人でギュウギュウだった車内も、
今は空いている席があるぐらい。


それぐらいあたしたちは、遠くまで来ていた。