突然現れた王子



あたしがようやくご飯を食べ終えた頃、時計は9時を指していた。


今日行くところは、どうやら時間がいる場所らしく。

あたしたちは家を出た。


電車に乗って、空いている席に座った。


「ねぇ、ケイター。どこ行くの?」

「なーいしょ」


そう言って微笑みながら窓の外を眺めるケイタ。

鼻歌まで歌っちゃって。


あたしよりケイタのが楽しみみたいだ。


「ていうかケイタ、行き方分かんの?」


記憶がないのに、ちゃんと分かってんのかな?