突然現れた王子



部屋を出て、一階に下りていくと、
椅子に座ったケイタがいた。


「準備できた?
おっ、可愛いじゃん」


ケイタがサラッと“可愛い”なんて言うから、

あたしの顔は真っ赤になった。


心臓は更にドクドクと脈を打って。

あたしは何も喋れなくなった。


無言のまま、ケイタの隣に腰かける。

母親が用意してくれた朝ご飯を、必死に詰め込む。


意識は隣にいるケイタに集中して。

上手くご飯が噛めなかった。