ラヴァップ

『離してッ!!……逃げなきゃ。逃げなきゃっ!!』


掴まれた左腕を、振りほどこうとしても効かない。振り切れない。焦る私に掛かる声。


「誰かに追われてるのか?」

『そうだよッ!!だから、逃げないとっ。離して!!』


────クイッ


掴まれた左腕を引かれた。
その刹那、ぬるい体温と甘い匂いに包まれる私。


「落ち着け。俺が、……俺等が助けてやるから。」


まるで、子供をあやすように背中を叩かれながらかけられる優しい言葉。