無言で足を進める

「ゆ、いち」

少し腕の力とはや歩きをゆるめると

「ああ、いいにおいだったー。

どきときしちゃったな?」

いや、同意を求められても、

「いくっていいそうになっちゃった」

むぅ

「じゃあいけばよかったじゃん」

「そしたらお前どうすんだよ」

クシャッと笑う顔にドキッとして

「高校生なんだし、一人で帰れるもん」

「だーめ、この道暗くてあぶねーからって

何度もいってんだろ?」

優しく微笑む