8月16日。

夏休みに入って、数日が過ぎた頃、私は蓮の家を訪ねた。


心を開いてくれるかはわからない。
けど…伝えたかった…

蓮は独りじゃないって事を…


「何だよ!?…何しに来た…!?」

明るかった蓮に…
戻ってきてほしい…
ただ…それだけだった…

「オマエも…知ってんだろ…?」

その声は震え、か細く…瞳には…哀しい…心が映った…


「…知ってるよ」

その答えを聞いた時の蓮の顔は…
今でも忘れない…


「じゃあ、帰れよ!!」

「帰らない」

「俺に構うなっ!!」


「…イヤだっ」


「俺は…あと…数年で死ぬ…んだよ」

決して私の目を見ない…
心を悟られたくないからだ…


「蓮…アナタは一人じゃない!」


「独りだっ…孤独で震えてんだよっ」


「私がいるっ」


「オマエに何が出来るんだよっ!!俺の…」

その言葉を言い終わるより早く…


蓮を抱きしめた。

強く…強く…
抱き締めた…