雨と電車とチョコレート


「胡桃さん、彼氏いないじゃん。……だから、これはきっと好きな奴に告白するんだ、って思って。……そしたら、いてもたってもいられなくなって」

「……え」

「……今日まで気付かなかった自分がアホみたいなんだけどさ」



ずっと俯いていた顔を上げた、染谷くんのまっすぐな瞳。


見つめられたら、身体が硬直して、頭が真っ白になって。


身体も心も全部、その視線に絡めとられてしまったような感覚。



「……俺、……胡桃さんのチョコ、欲しい」

「……っ」

「胡桃さんを他のヤツになんて渡したくないんだ。もう遅いかもしれないけど、でも」



……染谷くんはそこで一度言葉を切って。

さっきより強い視線を向けてきた。


キュウ、って。

心が、鳴く。




「……俺、胡桃さんが好きだ」



掠れたような染谷くんの声が、夢みたいに聞こえた。