私の方が、バレバレだと思ってた。 何度も本から顔を上げて、彼のことを見てたから。 「……まさか、急にこんなことになるとは思ってなかった」 「私も」 バレンタインって、すごい。 こんな急展開、あるんだ。 「俺の彼女になってくれますか?」 「……はい」 私の答えにふわりと笑って「ありがとう」と言った彼の声は。 箱の中のチョコレートより、ずっと甘かった。