雨と電車とチョコレート




私はすっかり肩を落として、ホームの柱に寄りかかった。



次の電車まで、あと10分か……。



はあ。



大きなため息。




手に持った小さな紙袋から、頑張って作ったチョコレートを取り出して、意味も無く眺めた。



これ、どうしようかな。




明日渡すのじゃ、格好付かないよね……。





そんなことを考えていた、その時だった。



グイッ、と唐突にチョコレートをもっていた手を掴まれた。



びっくりして息を呑むのと同時に、掴まれた方を見る。



「……!」



更に驚いて、私は目を見開いた。




……電車の、彼だ。