雨と電車とチョコレート




私は、高校3年生だ。



つまり、この電車で学校に通うのも、あとわずか。




だから。



今年のバレンタイン。



朝の電車の彼に、告白しようと決めた。



このまま、見てるだけで終わるなんて、嫌だ。



だから、朝、彼が来たら、電車の中で向かいじゃなくて隣に座って。


チョコレートを渡そうと思っていた。








……のに。


どうして、こういう日に限って寝坊するんだろう……。


私は、走っていた足を止めた。



目の前を、乗るはずだった電車が通り抜けていったから。



……信じられない。


自分が信じられない。



いくら昨日チョコづくりで寝るのが遅かったって言ったって。



……渡せなかったら、意味ないじゃない……。