ベンチに座って電車を待つ間に鞄をあけて、倉持くんに綺麗にラッピングしたチョコレートを差し出した。 本当は、違う人に行くはずだったチョコレート。 「……苦」 遠慮も無く包みをあけてチョコを一口かじった倉持くんは、そう言う。 「そうだろうね」 湊くんは甘いのが得意ではないってきいたから、好みに合わせて作ったもの。 私と彼の初めてのバレンタインチョコは。 ほろ苦い、ビターチョコレート。 END