ちょと待てちょと待てぇい!!なんで舌打ちされたの、私!!なんかしたか私!夢ですよね!夢でいてくれ!お願いします!相澤君に舌打ちされるなんて夢ですよね!?

「梨乃が見過ぎだからウザかったんじゃない?」

いや、お前らがうるさかったんだよ!きっと!!!そういうことにしよう?ね?

「謝ってきなよ梨乃〜」

「え、」

「だって梨乃に舌打ちしてたじゃん?」

「ぅあ…」

梨乃に30のダメージ!こうかはばつぐんだ!

「ヤバイじゃん!梨乃の初恋は終わったな!」

「あぐっ!」

梨乃に100のダメージ!もうしにそうだ!

「きっと生徒会室だよ、取り敢えず行ってきなよ!」

「バイバーイ梨乃ぉ、ファイトー」

陽気に手をふる三人組はきゃいきゃいと騒ぎながら教室をあとにする。

一人、放課後の教室に取り残されてしまった私は馬鹿デカイ溜息と共にその場で頭を抱えながら顔面を机に押し付ける。

やだよ、やだよ、嫌われたくないよぉぉぉ!!

ガタガタと悍ましい震度で貧乏ゆすりをしながら唇を噛み締める。

………行くしか、ないよ、ね?

生徒会室……

一生入室することはないと思っていた生徒会室に向かい歩を進めるものの心臓は仕事のしすぎらしくドキドキを超えてバクバクいっている。落ち着け、私の臓器。落ち着くんだ。

完全に挙動不審らしく、下校支度をする女子生徒や部活に急ぐ男子生徒が眉間に皺を寄せ、白い目で素晴らしいロボットウォークを繰り出す私を見つめるがそんなことどうでもいい。

相澤君の舌打ち事件に比べれば消しカス程興味がない。

やっとの思いで生徒会室の前に辿り着くと同時にごくり、と生唾を飲み込んだ。