「相澤君ってほんとカッコいいよねぇ」

「いっつもヘッドホンしてて何聴いてんだろ〜」

「ノートパソコン持ち歩いてるじゃん!?噂では作曲とかしてるらしいよ!」

「すっごぉい!さすが相澤君って感じ!いいなぁ付き合いたい!」

「彼女はいないっぽいけどウチらじゃ無理無理!眼中に無いって感じじゃん!」

「しいていうなら隣のクラスから毎日来てる東雲さんじゃない?」

「あの巨乳の!美人の!黒髪ストレートの!学年TOP成績の!」

「そうそう、非の打ち所がなさすぎて何も言えないよね〜」

「普段はクールでさぁ無表情でなに考えてるかわかんないような人だけどさぁ、東雲さんって生徒会メンバーと一緒にいる時だけ笑ってるよね〜!」

「だよね〜!!私も彼女じゃなくていいからあのメンバーに入りたぁい!!」

「チーム百花繚乱?」

「まぁそうだけど!!正しくは生徒会様様だよ!!」

「いいなぁ!別格すぎぃ!!」

「「「って聞いてる!?梨乃!?」」」

「う、うん、勿論!」

「もぉ、梨乃ってば相澤君見過ぎ!あんたじゃ無理だって!」

「そんなことわかってるってば!」

おはようございます。こんにちは。朝の9時と10時の間はどっちを使っていいのやら……どうも、木崎梨乃です。はい。

好きな人、現在目の前の席でパソコンを恐ろしい速さでタイピングし続ける我が学校の生徒会長こと、相澤傑君。

どうしようか!ほんとカッコいいな!おい、どうしようか!!!

整った顔立ちに艶やかな髪、夕陽を眩しそうに睨みつけるそんな仕草さえ絵になってしまう。

ほぅ、と私が感嘆の吐息を漏らすと、突然後ろを振り向いた噂の相澤君とまさかまさかに目が合う。

(えっ、えっ、相澤君が!私を!見てる!?そんな馬鹿な!!これは夢かっ!!??)

「…ちっ」

キョロキョロと恨めしそうに辺りを見回したかと思うと、すっと椅子から立ち上がり舌打ちと共に相澤君は教室から出て行ってしまった。

「……はい?」

な、ん、で、舌打ち…?

「あーっ!相澤君行っちゃったよぉ、ウチらがうるさいからかなぁ?」

「どうしよー、怒ってるかもよぉ」