度々聞こえる、綺音の幸せの音。

嫉妬していた。

綺音を幸せにしてくれた人に

感謝していた。

俺は綺音とよくいた図書館の隅で。
再び聞いた。
綺音の告白。
俺の知らない誰かへの。

正と負の感情が揺れに揺れる。

「綺音・・・・・」

続けようとした言葉がでない。
そして、浮くような感覚。

気づくと

「はじめまして、魔王様」

人の姿をした何かが前にいた。

「誰だよ」
「私は、夢魔のレイスです。
魔王様に最適な能力をお持ちなので、魔王様として召喚されたのです」

分からない。
意味が。

「あなたは・・・ああ、わかってしまいました。
思いを叶えます。
だから、殺すすべを覚えてください」

は?なぜ?
なぜ殺す?
何を叶える?
俺は訳もわからず


魔王になっていた。