鶺鴒の家族探し

男は俺の前にひざまづく。
満面の笑みで語った。
心の音も同じだった。

「魔王を召喚？」
「はい！
魔王は召喚された異世界の人でないといけないのです！そして、その方の思いは・・・
姫様に会うこと。
ただそれだけにございます。
私めはそれを叶えるために来たのです！」

魔族の言葉に期待と、考えてはいけないと言う理性が

交差した。

気配を調べた。

遠いどこかに。
懐かしく。
暖かい。
優しい気配がした。

「翔・・・翔だよぉ・・・・・」

俺は泣いた。
クラスの皆が見ているのに。

嬉しい。
嬉しい！
嬉しい！！

涙が止めどなく溢れた。

「では、私はこれで」

消えた。
笑顔で囁き、消えた。

「翔・・・しょおぉぉ」

俺は子供のように泣きじゃくった。

皆は動けない。
動揺と不安で。

「綺音・・・良かったね」

そんななか。
ジルが俺を抱き締めて、
優しく、優しく、撫でてきた。

「翔・・・君だっけ？に、会いに行こう！今すぐにでも」
「うんっ！」

ジルの言葉に頷く。
転移する。
ジルと一緒。
アルトのもとへ。