そして次の日。

アルトに渡されたマントをつけて
王のまえに降り立った。

俺の横には
ディスとアルト。
目の前には
ジルと父。

「その者、フードをとれ」

王からの言葉。

「いや。俺は会いに来ただけ。それ以外は知らない」

大臣たちがざわつく。
その音に
俺は、
ディスは

恐怖した。

体が小さく震える。
ディスも同じ。

「静かに!」

響き渡るジルの声。
沈黙の幕。

「これで大丈夫だろう?死音」
「ジル。やめて。俺は綺音だ。名前で呼んで」

俺はフードをはずし、ジルを見つめる。

「ああ、わかったよ。綺音」
「大好き!」

俺の口角が一気に上がる。
隣で、
アルトが
ディスが
ジルを
睨んでいた。

気づいた俺は
アルトにくっついて

「アルトも好き!ディスも、家族はみんなッ!」
(翔も……)

叫ぶ。
心のなかで。
届けと。
翔にも来て欲しい。
でも、
死なないで欲しい。

「死音の鶺鴒。ソナタは人が嫌いなのではないのか?怖いのではないのか?」

あまりにも愚問だった。