鶺鴒の家族探し

「あーあ。
失敗しちゃった」

新たな声に驚き振り向く。

男。
くすんだ金に濁った青。
体に巻き付く白に黒。
そして

背中にはえる翼。

堕天使。

誰よりも強く弱い存在。

気がつくと周りが止まっていた。
世界に一人。
一人。
一人は嫌だ。

「一人じゃないだろ?」

堕天使が
男が話しかけてきた。

「俺がいんじゃねぇか」

男の目を見て気づく。
目に
深くに
悲しみが
絶望が
愛が
あるのを。

「俺は一人じゃない。
ジルが
アルトが
翔が
お前が
いる。
いてくれる」

一人、自分に言い聞かせる。