鶺鴒の家族探し

声を聞いただけで。
ただそれだけで。

体が震える。
泣きそうなのを我慢して。

俺よりも小さなジルの服をつかんで。
隠れるように。
それを見た。

妹。
俺が生まれた家の長女。

「あなたが、あなたみたいな屑が、鶺鴒さまなわけないでしょ!?ご丁寧に鶺鴒綺音なんて嘘の名前まで使って!!そんなにジルさまの気を引きたいの!?」

妹がヒステリックに叫ぶ。

「「うるさい」」

ジルと担任の声が重なる。

「どーでも良いことで争ってんな」
「第一、嘘だったら、俺が守るわけないじゃん?」

どうでも良いと声をあげる担任と、
頭悪いの?とバカにしているジル。

少しだけ。
いや、すごく。

嬉しい。

妹は。
その回りの人間は。
顔を赤く、体を震わせ、俺をにらんで。
席に座った。