鶺鴒の家族探し

「あーあ。アルトわりーの。女泣かせてんじゃん」

急に聞こえた声に。
俺は驚きと恐怖でからだが固まり、涙もとまった。

アルトと呼ばれた男も驚いていた。
でも、

「ばーか。こいつは男だぞ?細いし、髪長いけどな」

あきれながら返事を返した。

男の、アルトの知り合いだとわかり、体の緊張が少しほぐれた。

アルトの言葉に男が目を見開く。

金髪で青目。
俺と同い年くらいの男。

「こいつ・・・じゃ呼びにくいな。お前名前は?」

名前?
名前はこちらの世界ではもらってない。
いや、呼ばれてはいた。
レイアや屑と。
魔力なしの落ちこぼれと。

でも、俺は。
翔がいつも呼んでくれた

「綺音。俺は鶺鴒綺音」

これが良い。