綺音(アヤト)が死んだ。
死んでしまった。

目の前が暗くなる。
絶望。
それしかない。

綺音が死んで、一日もたたずにおかしなことが起こった。
綺音をいじめていたやつらが・
虐待していた母親が・・・

報復を受けていた。

綺音。お前なんだろ?

たくさん泣いた。
冷たくなった、少し青い顔色の綺音に覆い被さって。
人目なんか気にしないで。

流れ落ちる涙が傷に滲みて痛い。
綺音から受けたこの傷も、いずれは消えてしまう。

だから、この痛みだけは忘れない。

綺音の痛みに比べれば、無視に刺されたようなものかもしれない。

でも、この心の傷は、痛みは。
絶対に消えないだろうから。

『幸せになれよ。翔(ショウ)・・・』

微かに聞こえた綺音の声に

「綺音ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

さらに大きい声で泣き叫んだ。