三人が出て行って、誰もいなくなった空き教室で、一気に緊張の解けた重信は尻餅をついた。
(おいおい……)
 まだバックンバックンと心臓が鳴り響いている。
 兎に角、とんでもないことになってしまった。目立つ三年に目をつけられた上、もうアオイに近づくなという勝手な警告まで突き付けられてしまった重信は、深い溜息をつく。
(でも、俺はアオイから離れるなんて無謀なことはもうやめた)
 アオイから離れようと馬鹿な努力をしていた重信だったが、結局はうまくいかなかった。そして何より、今はアオイから離れるというよりかは、近くで支えたいという思いがとても強くなってきていた。

(アオイと一緒にいられるのなら、たとえアオイの兄貴や派手な三年に目をつけられたって別に構わない)
 そう密にかにそんなことを考える重信だった。