ごそごそと布団の中から手を伸ばし、スマホを掴み取る。チカチカと青いランプが点滅し、メールがきたことを重信に知らせている。
 薄暗い布団の中で、スマホを開いてみると、恵太からすでに三通ものメールが届いていた。因みに、着信は二回。

 一通目のメールの中身は、

”あれ、ハギ今日休み??”

のみ。続いて、二通目を開いてみる。おそらく、メールの返事がないことと、いつまで経っても登校してくる気配の無い重信んを心配して送ってきたのだろう。

 ”ハギー、体調悪いの? ってか今どこ? 家??”

 それでもまだ返信してこない重信にとうとう三通目のメールを送ったらしい恵太。

”大丈夫か? 体調悪いなら、空メールでいいから送信して”

 優しい恵太のことだ。今頃ものすごく心配して気もそぞろで授業にも集中できないでいるのだろう。流石に申し訳なくて、重信は、思い身体でなんとかこう返信した。

 ”熱あるから今日は休む。ごめん。”

が、重信がそれを送信し終えた直後に、手の中でまたもやメールを受信して着信音が鳴り響く。恵太がすごい速さで返信してきたのかと思い、ちょっとびっくりしながらスマホの画面を見ると、そこには送り主がアオイと表示されていた。
 咄嗟にスマホをベッドに伏せて画面から視線を逸らすが、しばらくじっと考えた後、再びスマホを手に取った。
 意を決してメールを開いてみる。

 ”もしかして、今日欠席?”

 アオイからのメール。
 同じクラスの恵太が、重信から連絡がないことなんかをアオイに話したのかもしれない。
画面を見つめたまま、
「がーーーっ」
と、重信は変な呻き声をあげて、また布団の中に潜り込んだ。

(あ~~……。アオイは今頃何してんだろう)
 この時間辺りから、そろそろアオイがお腹を空かせ始める頃だ。
(そういえば、今日の牛乳とビスケット……)
 と、アオイのことになると、思わずそんなことまで考えてしまう重信は、また更に落ち込む。