その時…

ガラガラ…

「あっ!恭介だ。」

教室に1人の男子生徒の声が響いた。

「おい。遅刻だぞ。」

「…」

「…いいから席につけ。」

担任がため息混じりで言った。

そして成井恭介は私の隣に座った。

(えっ…)
そしてなぜか少し睨まれた気がした。

教室のざわめきが減り担任がこれからの予定を話しはじめた。

「あんたさぁ…」

成井恭介が気だるそうに肘を机につき話しかけてきた。

「はい。」

「名前は?」

「巣牙前 遥ですけど。」

「ふーん。」
と、興味がなさげに答えを返したくせになんだか口元が緩んだ気がした。

「なんですか?」
たまらず私は聞いてみた。

「なにが?」

「私の名前聞いて笑いましたよね?」

「別に笑ってねーよ。」

でもたしかに口元が緩んでいた。

「あっ、でも。変な名前だなぁーって思った。」