渓は笑って、藤原をニヤニヤ見ていた。
やめろよ。藤原のことは俺が好きなんだ。見るなよ。俺はあいつが好きだし、あいつは俺...
「俺のだぞ。」
思っていることが口に出たのかと一瞬錯覚した。
「俺のだぞ。って、思ってたろ」彼女でもねーのに!
と笑った。
ちゃらちゃらした見た目でもこの洞察力には驚くし、素直にすげーなって思んだ。
渓とは昔からの仲でケンカもするんだけどすげー仲がいい。
コイツは彼女もいて、いつも羨ましい。
「心配すんなよ。俺は毎日アイツにメロメロだからよ!」
と言って教室の隅から真ん中に向かって投げキッスをした。驚いてキスを投げた方を見ると
渓の彼女の夏海がいた。夏海は嬉しそうにキスを投げ返した。
「なっ」
と、笑う渓がますます羨ましい。
そんなやり取りに視線を感じ、対角線上にある窓側の隅を見ると藤原が見ていた。
そして俺に気づいた藤原は慌てて目を反らした。けど、そのあともう一度こっちを見て小さく控えめに下の方で手のひらを振ってくれた。
そして俺は少し照れながら手のひらを振り返した。
それを見た渓は藤原にいきなり大きく手をふった手のひらではなく、手のひらを広げて腕をぶんぶん振った。
それに驚いた藤原は少しおどおどしてから小さく会釈をして今度は自分の席で小さくなっていた。
変わった。そして、可愛くなった。

