今日もぶつかられた。
痛いなんて感じるほどのぶつかり方でもなかった。
そして学校への少し急な坂道を登った。
教室には何人か人はいたけど
誰にも挨拶されない。
多分ワタシが来たってこと気づいていない。
そしてまた参考書を開き、
ノートに数式を書き込む。
授業が始まれば、教室は騒々しい。
だけど、教師たちはそれに対して特に何もしない。
まるでそれが当たり前のように。
そう、ワタシが誰にも気づかれないように。
ワタシは騒々しい生徒たちの声をシャットアウトしてただ教科書に目を走らせ、
ノートに黒板をまるまる移植したように完璧なノートを書く。
今日はいつもよりうるさいなと
耳に入ってきたノイズを捨て去ろうと目をつむった瞬間。
「ごめんね」
と聞こえた気がした。
「お前ら、今日ちょっとうるさいよ。」
そんな声が教室に響いた。
クラスがいっきに静まった。
別に誰も怒鳴っていないのに。
その声の主は
芦山心...学級委員長。
いつもクラスの中心にいる。
頭脳明晰、運動神経抜群、バスケ部部長候補第1位並びにイケメン...。
ワタシと正反対な繋がりも何もない人物。
「授業、やってる人もいるからさ、静かにしねぇ?」
その言葉に逆らう人なんているはずがなかった。
そして教室はいつも通り少し騒々しいだけになった。
芦山心の隣では芦山心の親友の山本渓が「さすがーいーんちょー♪」
とはやし立てていた。

