バランスを取り外して、木の茂みから出てしまった。
血の気がサーっと引くのが自分でもわかる。恥ずかしさよりも、恐怖の方が今は勝ってる。
真上を見ると、ちょうど雷雲があって今にも雷が落ちそう。
いや、てか、これこれは確実に落ちる。
うーん、いろいろやばいね。
動かなきゃいけないのに、体が冷凍されたみたいに固まってまったく動けない。
大和撫子ちゃんが叫ぶ。
「危ない…………っ!!!!!!」
怖くて思わず目をつむった。
…………………あれ?
まったくなにも感じない。
おそるおそる目を開けると、あたしは宙に浮いてた。
…あたしもう死んだの?
でも、人の暖かさを感じた。
がっしりした腕に抱えられてるのも。
パッと見るとあたしは拓さんにお姫様だっこされてました………。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、恥ずかしい!!
顔が熱くなって、真っ赤っかだよ絶対。
郵便ポストよりも赤いかもしれない。
拓さんはジーッとあたしを見つめる。
そのせいでもっともっと、さっきの100倍くらい真っ赤になる。

