not ANGEL but BENUS

僕は血が飛び散るのを見た。

スローモーションで、息遣い、跳ねた血、叫び声が聞こえる。


緩やかに時は進行し、僕を抑える圧力が消えた。


跳び跳ねる様に立ち上がり、振り向いた。


「流流流ーッ!!」


そして僕は言葉を失う。




流流流が、立っていた。

   ・・・
流流流だけが、立っていた。

血みどろのナイフを片手に、呆けた顔で、宙を見上げている。

流流流と僕以外誰一人、周りに息をしている者はいない。


「………ーーーっ…」

長く、息を吐く。
ようやく、流流流は僕を見た。目が、生き返る。