「あ…ここ行ってみたいな。」


テレビを見ながらそうボソっと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。



「…今度の日曜行く?」


少し控えめに聞いてみる。


「でも、体調大丈夫かなぁ。」


「俺もちょっと行ってみたいって思ってたんだよね。」



これは本当は嘘。



「本当に?」


「うん!」


「…じゃあ行きたい。」



美緒はボソっと呟いた。



「えっ?本当に?本当に行ってくれるの?」


「うん。」


「本当に?嬉しい!」



俺はわざと大袈裟に喜んだ。
美緒の気がかわらないように。