「そばにいてっ・・・。」


必死にあたしは言う。


「ここにいるだろ、どうしたんだよ、カズ。」


「また、どこかに行っちゃうなんてヤダよ・・・。」


「行かねぇよ。」


「嘘っ!!そんな優しい嘘つかないで。いつもそうじゃん。」


「いつもって・・・。おい、カズ。」


風邪のせいかな?


判断力の低下が著しい。


・・・隣にいるのは、誰?


「おぃ、カズ」


「っ、智也お兄ちゃん!!!!!」


あたしは、ただ必死に名前を呼んだ。


違う。


隣にいるのは、俊哉だって分かってる。


でも、あたしにはわからない。


いるはずのない“彼”の名前。


でも、あたしはその名前を呼ぶしかなかったんだ。




「・・・だぃすき・・・・。もぅ、どこにも行かないで・・・・。」