「聖奈のこと。最初から言っておけばよかったし、今日はあいつが迷惑かけた。寝言の話とかだって、逆ギレする必要はなかった。」


俊哉は頭を下げ続けた。


・・・正論だ。今回のことは俊哉が悪いと思う。けれど・・・


「もういいよ。」


「いや。それと言っておく。言い訳に聞こえるかもしれねぇけど。・・・聖奈、あいつは俺の本当のいとこじゃねぇんだ。俺の母親の兄貴の再婚相手の連れ子。」


「え・・・?」


「俺と話してくれるようになったのもここ4、5年だし、あいつの本当の母親も再婚してすぐ亡くなってる。再婚した父親にも見放されて、フランス行き。・・・人間不信になって、ここまで過ごしてきて、わがままな奴に育った。・・・だから、お前になかなか言えなかった。」


「・・・そうだったんだ。でも、あたしもごめんね。今回のこと、全部じゃないけどあたしも悪かった。ごめん。」


自然と言葉が出てた。


「カズ・・・。」


そこで初めて、俊哉が頭を上げた。


「ね?お互い様。もうやめよ。だって、あたし達・・・」


一瞬、言葉につまる。


この台詞を自分から言っていいものか。


非常に恥ずかしい台詞だ。


「・・・あたし達、付き合ってる・・・んでしょ。仲良く、しよ?」


俊哉は目を丸くして驚いていたが、何も言ってくれなかった。


沈黙が続いた。