「ただいま、お母さん!!」


ランドセルを背負って、髪を高い位置に結んだ少女が笑顔で帰ってくる。


「おかえり。学校は楽しかった?」


洗濯物を上手に畳みながら、優しく笑うその子のお母さん。


「うん!!あのね、今日はね、俊哉がね・・・」


楽しそうに今日の出来事を話す少女の肩を叩いて、そっとプリンを差し出す一人の男性。


その顔には靄がかかっている。


「おかえり。今日のおやつはプリンだよ、カz・・・」






「カズ!!」


あたしを呼ぶ声にハッとして目を開けると、俊哉があたしの目の前にいた。


どうやらあたしは学校から帰ってきてすぐに、ソファで寝てしまったようだ。


汗で枕替わりにしていたクッションが濡れている。


「あ、あたし寝てた・・・?」


「・・・どうした。相当うなされてたぞ。」


「ううん。何でもないの。ごめんね、すぐご飯作るから。」


「・・・。」