「恵梨香さん・・・あの、トモクンって・・・」
「あぁ。私の旦那さん・・・になるはずだった人。私の大好きな智くん。今でも愛してるわ。あの事故で消えてしまったんだけどね・・・。」
あの事故。
その言葉が指す意味を、理解できなかった。
恵梨香さんは、事故で彼氏を亡くした。
その事故であたしは被害者である。
その事故の被害者は推測で四人。
あたしと、男と女性と俊哉に似た男性。
でも、男はあたしと親しそうにして、微笑んで、自分よりもあたしを助ける道を選んだ。
・・・関係性が全くわからない。
「・・・恵梨香さん。もう」
黙って二杯目のコーヒーを飲んでいた俊哉が突然話しだした。
「・・・ごめんなさい。そうだったわね。」
?
話が全く読めない。
「じゃ、聖奈と仲良くやってください。俺いつでもここにいるんで。」
え?
なんかわかんないけど、もうこの話終わり?!
「えぇ。じゃまた。」
え??恵梨香さん帰っちゃうの?!
・・・状況が読み込めないあたしはただ、黙って帰る恵梨香さんの後ろ姿を見ていた。

