あれ?
辺りを見回すと俊哉はいつの間にか、リビングの隣の部屋の和室にいた。
「も~何やって」
何やってるの、と声をかけようとして止まった。
だって俊哉は、和室であたしの両親の仏壇に手を合わせていたから。
真面目に、真剣にあたしの両親へ挨拶をしていた。
「ただいまです、結子さん。和真さん。・・・すいません、お葬式とか来れなくて。」
無論、結子さんはあたしの母で、和真さんはあたしの父だ。
3年前に亡くなった二人のお葬式に俊哉は来なかった。
もしかしてそのことを気にしてたのかな・・・?
あたしは笑顔を作って俊哉の隣に腰を下ろした。
「ありがと。きっとママもパパも俊哉が来て喜んでるよ。」
あたしなりの精一杯の慰めだったのに対して、俊哉は頷いたあとにあたしの顔を見て不敵な笑みを浮かべた。
「ママとパパと“カズも”・・・だろ?」
///!?
「ばっかじゃないのぉっ!?」
一瞬でも心を許した自分が馬鹿だった・・・。

