あの日、電車とバスを乗り継いでまで通っていた高校から帰ってきた。 いつも通りの夕方5時30分。 西を見れば、茜色の空に紫ががった雲。 いつも通りの見慣れた景色が広がっていた。 高校2年生のあたし、渡瀬 和紗(わたせ かずさ)の毎日は、これからもずっと同じように、ゆっくりと流れていくと思っていた。 そう、この時間。この瞬間までは━━━━