フルスイング【危険】

そんな楽しい時間なので、なるべくゆっくり反省文を書こうとするが、もういくつかのパターンを持っているくらいに反省文慣れしているので、今日もすぐ書き終えてしまった。


「お、もう書き終えたのか?」


「あ、はい」


「相変わらず早いな…ん…よしOKだ」


簡単に紙に目を通すと、先生はタバコを消し始める。
灰皿に押し付けられたタバコが火花を散らす。
ステンレス製の灰皿は出来損ないの鏡みたいに私の顔を映した。

ふとその表情があからさまに寂そうになっていたことに気づき、慌てていつもの表情に戻した。
でもいつも自分がどんな表情をしていたか思い出せず、引きつった笑顔になってしまう。

沢井先生は怪訝な顔でそんなに嬉しいのかと不思議そうにつぶやいた。
そうではないのだけれど。