フルスイング【危険】

と同時に様々な不安が頭をよぎる。
風間君とは一度も話したことがないのに、プリントを渡すだけとはいえ出来るだろうか。

先ほどとはうって変わって暗くうつむく私の頭を、先生の手が撫でる。

小さな手、でも温かかった。


「そんな心配すんな、大丈夫だ」


いつもそうだった。


さっきまで私のセクハラにおびえてたくせに。
少し胸をくすぐられただけで涙目になっちゃうくせに。

小さな手と少しの言葉で。

どうして私はこんなに安心されられるんだろう。

俯いていても表情がわかるくらいに優しいそれは、無様な私を余すところなく包み込んだ。


「先生のばか…」


「んだとー」


今度は意地悪な笑顔になったな。
見なくてもわかる。
私はようやく顔を上げた。