「あ、そうそう」 席を立って上着を着ているところで先生が思い出したようにつぶやいた。 私はせっかく着た上着をまた脱ぐことになると面倒だなと思いつつも、無視はできないので何ですかと聞いた。 「クラスに風間って奴いるだろ、ほら、あのテニス部の」 私はどきっとした。 クラスの子達には基本的には興味も関心もないのだけれど(そもそも話したことがあまりないし)、風間君はちょっと好きな男の子だった。 ちょっとだけど。 近くにいると、緊張するくらい。