ただ走った。
広すぎる家の裏口を目指して、ただ走った。
少し短めのゆったりしたドレスが役に立つ。
アリーはもはや疲れ果て、シリルの背中の上。
いつどこから、敵が来るのかさえ分からない。
「!!」
矢が飛んできた・・・。
「待てよ。坊ちゃんたち。」
敵だ・・。
「シリル、ジュリ、アリーを連れて先に行け。」
「でも、フレッド?!」
フレッドは、敵のなかへと突っ込もうとしていた。
「いいからいけ。すぐに追いつく。」
「無理。おいていけないわ!!」
「行けっつってんだろ!!ジュリはシリルを守り抜け。父上と母上の気持ちを無駄にするな。」
誰かが私の腕をつかむ。
「悪い。任せるぞフレッド!行くぞジュリ!!」
シリルが叫んで、腕をつかんだまま走りだした。
私はそのまま、ついていくしかなかった。
フレッドの声を聴きながら。
「わが名はアルフレッド・バルニエール伯爵家長男、フレデリック・バルニエール!!ココから先に行きたいのならば、俺を倒してみろ!!」
まだ、13歳の子供のくせに、
強がっていた。
本当は震えているくせに・・・・。


