午前0時に口づけを


「失礼いたします。」

そう声をかけ、私は謁見の間から、出て行く。

次は、フランシス殿下のところへ行かなくてはならない。

レッドは見た目こそ執事っぽくしているが、王宮の中の特に王たちが普段暮らしている奥の方へ来るのは初めてのため、キョロキョロしている。

「大人しくしていろ。セイル。この次の角を曲がったところが、王太子殿下のお部屋だ。その隣はサロン。そして、その隣が騎士達や、使用人の集う場所になっている。普段騎士と、使用人はサロンには入れない。騎士は私を除くがな。サロンには王太子直属の使用人が控えているから心配はいらないぞ。ちなみに、私は殿下のお部屋へ向かう。セイルは今言った場所へ向かえ。話が終わり次第迎えに行く。」

一気に言い切る。失礼があったら首が飛ぶのは私。まだ、死にたくはない。

「わかりました。」

その言葉を信用し、私はレッドに背中を向け、王太子殿下の部屋へと足を進める。

ここに来るのは、騎士団長就任の挨拶以来だ。あとで、騎士達と、殿下専用のサロン、ローリエの間にでも、顔を出そう。久しぶりに月桂樹がみたい。