「いや、大丈夫だ。」
「つい最近まで、荷物をお一人で用意できなかったのは、どこのどなたですか?」
セレナはにっこりと言い放った、
やはりセレナには勝てないようだ。
「では、頼む。セイル、君の準備もしてくれ。」
「「御意」」
レッドとセレナの声が、重なった。
準備も整い、出発直前……。
「ジュリエッタ様!これを!」
セレナが私に、レイピアを投げた。
「ありがとう。」
「レイピアを忘れるなんて、ダメじゃないですか。お嬢様。」
「私は伯爵だ。セイル。」
セレナは一人で、私たちに頭を下げる。
他の使用人は、誰一人としていない。
荷物をまとめて、シェーンフィルダー家に向かっているはずだ。
「いってらしゃいませ。どうかご無事で。セイル、ジュリエッタ様を頼むわ。」
「あぁ。」
そして、私たちは旅立った。